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12 まあ、視聴率さえ取れてたらええけど。

 そしたら、そう。
 高橋クンを追った、樋口クンと竹ノ原クンが担いだカメラから届いた映像は。
 高橋クンが道坂サンに、なんとプロポーズする場面やった。
 
 スタジオ中は、仰天。
 もちろん、ボクも。
 
 なんや、高橋クン。
 道坂サンのこと、ホンマの本気やったんや。
 
 
 どうやら、話を総合すると。
 あの居酒屋にいたときには既に、高橋クンは結婚の意志を固めていたらしい。
 
 その帰り道に伝えるつもりやったけど、道坂サンが勘違いしてしもて、言えへんようになって。
 そこから、どんどんとすれ違ってしまって、今日まで来てしもた、ということ。
 
 どうなることかと思ったけど、結局、『雨降って、地固まる』ってやつやな。
 
 ……あれ、でもちょっと待って?
 何か、大事なことを忘れている気がするんやけど?
 
 
「いよっ!! ご両人!! お帰りなさぁーい!!」
 
 戻ってきた二人を、祝福モードで迎えるスタジオ。
 
「えっ…………なんで?」
 
 二人とも、驚いている。
 
「『高橋諒のプロポーズ大作戦』、生でオンエア中!!」
 
 樋口クンが、高橋クンの顔をアップで映した。
 
 そう、生放送で流れちゃいましたよ、しかも全国に。
 高橋クンは、『やられた……』という表情で、がっくりとうなだれた。
 
 
 
「連れてきたぞぉー」
 
 そこへ入ってきたのは、中川クンだ。
 一人の女性の腕を掴んで、引っ張って歩いてくる。
 
 その女性は、まさしく忘れていた『何か』。
 そう、なーこちゃんやった。
 
「あのー、なーこちゃんね。この記事について、ちょっと説明してほしいんやけど」
 
 そやねん。
 このコが、高橋クンといったいどういう関係なのか、明らかにならんことには、めでたしめでたし、ってわけにいかんやろ。
 なーこちゃんは、なぜか中川クンと視線を交わしたあと、ゆっくりとカメラ目線で言った。
 
「あたしは、高橋諒の……妹です」
 
 
 ―――――――――――――!?!?
 
 ええええええええええ!?!?!?
 
 いいいい、妹!?!?!?
 
「ええー!? じゃぁ、なんで記事が出たとき、否定もせんと、ノーコメントやったん?」
「だって、みんなが勘違いして盛り上がってるの、面白かったしぃ」
 
 おいおいっ。
 キミが面白がってたせいで、いろんな人が振りまわされてるねんで?
 
「えっ……ちょっと待ってよ。じゃぁ、『諒クンはあたしのもの』とか言ってたのはなんだったの?」
「くだらないことを言ったのはおまえか、奈々子っ!」
「道坂サンには、あたしが妹だってちゃんと説明してあると思ったしぃ。道坂サン、からかいがいがあって楽しいんだもん」
 
 高橋クン、道坂サンに説明してなかったんか?
 そらぁ、アカンよ。完全に、キミの責任やで、高橋クン。
 
 
 そういえば、あの人。
 この場にいない、花本サンですよ。
 
 実は、他の仕事も平行してやらなきゃあかんってことで、別室からちょいちょい中継することになってたんですけど。
 予定してた時間よりだいぶ過ぎてしもて、待たせたままになってるんですわ。
 しかも、こちらの状況はわかってない、という状態で。
 
 ……どういう反応するんでしょうね。
 
 
 
「じゃぁ、そろそろこの人を呼んでみましょうかね。中継先の、花本サァーン」
 
 モニターに、待ちくたびれた花本サンの姿が映し出された。
 
「遅いっ! いつまで待たせんねん!」
「あのね、花本サン、聞いてくださぁーい」
「……なんやねん?」
「道坂サンね、結婚が決まりました」
「……………………………………はぁ?」
「だからね、道坂サンが結婚するんですって。高橋クンと」
「…………そんな、ドッキリしかけても、オレは信じへんで?」
 
 ……そうでしょうね。
 まだ、花本サンは、『高橋クンが道坂サンを騙して裏切った』と思ってますから。
 
「いや、ほんまですって。高橋クン、カメラに見せたって」
 
 ボクに促されて、高橋クンは道坂サンの左手を、そこにはめられている指輪が映るようにカメラの前に差し出した。
 
 こちらと中継が繋がってるときだけは、こちらの映像もあっちに流れるようになってるから、花本サンにも道坂サンの左手が見えているはず。
 
「ね? ほんまでしょ?」
「…………道坂ぁぁ!! オレら、ずっと『モテない芸人同盟』結んでたやないかぁぁ!!」
 
 いつ結んだんですか、そんな同盟。
 
 花本サンは、暴れ出した。
 スタッフが数人で押さえにかかる。
 
「おまえだけは、ずっと裏切らへんと思うとったのに!! どいつもこいつも、オレを置いてけぼりにして、幸せになりやがって!! おまえらな、全員まとめて不幸にしてやる!! 家に火ぃつけ―――」
 
 バツンッ!! と音を立てて、中継が途絶えた。
 
 多分、笑いの分かる人やったら、『テレビ的に面白いから、ああ言ってる』と思うでしょうけど。
 ボクには分かりますよ。
 あの発言の、7割は本気ですわ。
 
 
 
 
 次は、あの福山クンの番なんですが。
 まぁ、ここも詳しいことは割愛させてもらいますけど。
 
 福山クンの言うてたとおり、福山クンと高橋クンは中学の先輩後輩の仲やったということ。
 それから、高橋クンが道坂サンにプロポーズするらしいことに、なんとなく勘付いていたこと。
 そして、なーこちゃんが高橋クンの妹であることを知っていた、ということ。
 
 全部分かってたんなら、言うてくれたらよかったのに。
 
 
 
 そんなこんなで、生放送での騒動は一応終わって。
 その後の番組も、大幅に予定を変更しながらも、まぁまぁなんとかこなした。
 
 
 

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